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オホーツク左見右見(とみこうみ)

 天災は忘れたころにやってくる‐。水島寒月、じゃなかった、明治から昭和に掛けて物理学者にして随筆家、俳人と八面六臂の文化人として活動された寺田寅彦の有名な警句である。ちなみに寒月は寺田の師、夏目漱石の「吾輩は猫である」の登場人物で巷間、寺田がモデルとされる。

天災は忘れる前にやって来る
大丈夫!?足元確認  警句の警句たる所以談義の顛末

 それにしても、この警句は21世紀の今日にあっても、警句の警句たる所以は少しも色あせないようではある。と先だって、ある経営者と茶飲み談義にふけっていたら、隣席で週刊誌に目を通しておられた某氏曰く、「寺田の著作にその警句はないんですよ、それが」と、したり顔でおっしゃる。「ただね、彼の著作には次の文章があるんですね」と以下の文面をスマホで示してくれた。コピペである。そこには「文明が進むほど天災による損害の程度も累進する傾向があるという事実を十分に自覚して、そして平生からそれに対する防御策を講じなければならないはずであるのに、それが一向にできていないのは、どういうわけであるか。その主な原因は、畢竟そういう天災がきわめて稀にしか起こらないからで、ちょうど人間が前車の転覆を忘れた頃に、そろそろ後車を引き出すようになるからであろう」。うむっ、と考え込んでします。なるほど、こういう言葉を含意に、講演かなにかで例の警句を口の端に乗せたことから、発言録に収録され広まったのだろう。それはそれで分かりやすいいきさつではあるが、このコピペも、ある意味では警句より鋭く真実を突いているのではなかろうか。「文明が進めば進むだけ天災の損害も累進する、とは言い得て妙だし、天災は稀にしか起こらないと思いたい為政者のご都合主義といい、前車と後車にしても、いろいろ思い当たることがありますなあ」と某経営者はなにやら一人で合点して満足気であります。で、隣席の御仁は、なにやらいい足りなさそうな塩梅でありまして、暇人同士でありますから、それとなく促しますと、「でも文章は警句たり得ません。アフォリズムはひと息で相手の心臓を一掴みしなけりゃいけません。やっぱり、天災は忘れた頃にやってくる、であって、でも、われわれは含意としてのこの文章をアタマにいれておかないと、警句の警句たるシンを見失ってしまうと思いますよ」とのことである。 そこまでおっしゃってもらえば、隣席の御仁の含意は透けてみえてくる。昨年秋の九州北部豪雨に続く、此度の梅雨前線による西日本豪雨。どこかのお大臣(大尽?)のすっとぼけたお顔が目に浮かんでしまうが、まさに未曾有。経験知を凌駕する災害が忘れる前にやって来るのである。こっちは大丈夫、なんて暢気に構えることなく、地元というか事業経営の足元を再点検しておくべきでは……。

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